2007年03月12日

治験の質を向上させる方法(1)プロトコル逸脱を防ぐ

治験の問題点として、どうやったら治験の質を上げることができるだろうか? というのがある。

治験の質を上げる方法にはどんな方法があるだろうか?


……と言うようなことを考える前に「治験の質」を定義しよう。(いつものようにね。)

「治験の質」を評価する指標として考えられるものに以下のものがある。



1.プロトコルからの逸脱が多い

2.CRF( * )とカルテ等とのデータが一致していない。(それをモニターも監査も把握していない。)

(* Case Report Form:症例報告書とかケースカードと呼びます。)

3.監査からの指摘が多い(う〜〜ん、これは微妙。同じ会社でも監査する人により監査で指摘する基準が違いますからね。ましてや会社が違えば随分と違います。参考になるのは日本QA研究会(JSQA)です。

4.総合機構からの指摘が多い(同上。審査担当官によって微妙に違う。)

5.GCP違反、GCP不遵守、GCP逸脱が多い。(どうも「GCP違反」とか「GCP不遵守」という、この呼び名を嫌う人がいるのですが、本末転倒もいいところでしょう。)




まず、誰もが一致した意見だと思うのは「プロトコルからの逸脱が多いと治験の質が悪いと考える」ということ。

次に、これまた満場一致だと思うのが「GCP違反が多い治験は質が悪い」ということ。

この両者は微妙に内容が違う場合もある。

例えば「プロトコルからの逸脱が多い」と「科学的なデータの信憑性が低くなる」ことが多い。

一方「GCP違反」の場合は「創薬ボランティアの人権や安全、福祉を守っていない」ことが多い。

もちろん「プロトコルからの逸脱」が即ち「GCP違反」でもあるけれど、ここでは問題の定義よりも、その解決方法を考えるのが主題なので、それは無視する。



さて、「プロトコルからの逸脱」では何が一番多いか?

かつて僕が日本臨床薬理学界(http://www.jscpt.jp/)などで聴いた範囲では次の「プロトコルからの逸脱」が多い。


(1)選択基準、除外基準からの逸脱

(2)検査スケジュールからの逸脱

(3)併用禁止薬、併用禁止療法からの逸脱。




これらの「プロトコルからの逸脱」は重大な違反に繋がることが多い。

例えば(1)選択基準、除外基準からの逸脱を考えると、それだけで創薬ボランティアの安全性が大きく損なわれる恐れがある。

特に除外基準からの逸脱はそうだ。

心臓疾患や肝臓疾患の既往歴がある人や合併症として持っている人はたいてい除外される(「除外」という言葉は創薬ボランティアから見ると、かなり「冷たい、嫌な」言葉だよね。)。

そのような創薬ボランティアを治験に参加させたりすると、これは大きな問題だ。


また、選択基準からの逸脱が多いと、治験薬の効果が正しく反映されないことにも繋がる。

たとえば「過去に抗がん剤の治療を受けたことが無いひと」という選択基準を逸脱した場合などが、それに当たる。



では、この『(1)選択基準、除外基準からの逸脱』をどう防ぐか?だ。


まず、基本路線で言うと「治験責任医師や治験分担医師、CRCにプロトコルをよく説明する」ことから始まる。

さらに、インフォームド・コンセントに使う同意説明文書の中にも「選択基準」「除外基準」を記載しておくと良い。

何故なら、患者さんが既往歴や合併症、現在使っている薬などを正確に把握していなかったり、医師やCRCに言い忘れたりする可能性がある。

そこで、同意説明文書にそれらを記載しておけば、患者さん、自らが選択基準に合致しているか、除外基準に抵触するような治療や既往歴が無いかを考えてもらえるようにする。

(このようなケースで、創薬ボランティアが除外基準にある治療をやっていることが分かり、治験参加に至らなかったという事例を、僕自身、何度か聞いたことがある。)





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posted by ホーライ at 18:08| Comment(38) | TrackBack(1) | 治験の問題点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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